Ume’s Short Stories:3
居眠り
窓からはやわらかな朝の光が差し込み、空は突き抜けるような青空だったにもかかわらず、彼の心は沈んでいた。
まったく、やってられないよ。毎日毎日同じことの繰り返しだ。いいかげん眠くなっちゃうよ。
彼は心の中で悪態をつきながら、仕方なく単調な仕事を続けた。
やっぱり俺には合わないよ、この仕事は。そりゃこの仕事は子供の頃からの夢だったけどさ、憧れてるのと実際なってみるのとは大違いってものだよ。
そのことを親しい先輩に言ってみたこともたびたびあったが、それは仕事に慣れてきた証拠。そこで気を緩めちゃ駄目だ。大失敗は慣れたころに起きるものだから、などという当たり前の、教科書みたいな答えが返ってきただけだった。
おっと、間違えるところだった。
彼ははっと我にかえり、ミスを修正した。
危ない危ない。ちょっとずれたくらいであとでガタガタ言われるんだもんな。面倒だよ、まったく。
そして腕時計をちらっと見てから小さくあくびをした。
はやく休憩にならないかな。昼寝でもしたいよ。のども渇いてきたな。ちょっと外の自動販売機まで行って缶コーヒーを買ってくるっていうわけにもいかないし。座りっぱなしで決められたことをちょっとの狂いも無くこなしていくのも疲れるな。
そして彼は大きな窓の外に広がる青空に目を移した。
今日はいい天気だ。こういう日は思いっきり広い公園にでも行って、ベンチに寝転がりたいもんだな。そうそう、昼どきになったら焼きそばと缶ビールなんか買ってきてさ。
彼の心はすでに狭い仕事場から解放され、芝生の広がる公園のベンチに仰向けになって青い空の一番高いところをゆっくりと、細くて白い線を残して進む飛行機を眺めていた。 仕事に集中し続けなければならないことはわかっていたが、もはや彼は、どこまでも高く続いていそうな青空に吸い込まれるように、静かに眠りに落ちていった。
さっきの駅で停車位置がずれたのに続いて、もうすぐ終点だというのに一向に速度を落とす気配が無いので、満員の乗客たちの不安感は急速に広がっていった。
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